セミナー風景(講演者が筆者)
県内中小企業の現場で、IoT活用に関する相談展開を実施
(左から2人目が筆者)
IoTという言葉が現れたのが2-3年前。今は、新聞も雑誌もAIという文字が常に掲載される毎日である。ひと頃のインターネットによるWebビジネスがもてはやされたことが、今では当たり前の空気みたいな存在となっている。この目まぐるしいIT活用の変化の中で私は、埼玉県の中小企業のために微力ながら奮闘している。
私は現在、(公財)埼玉県産業振興公社で「IoTコーディネーター」という肩書で働いている。埼玉県は先進的な事業に取り組む姿勢が強く、その意を受けて、先端事業を県内企業(中小企業中心)へ普及促進・支援活動をしていくのが埼玉県産業振興公社の役割である。そのため、職員と共に専門的なノウハウを有するコーディネーターを採用しているが、私の場合には、2年前(2016年)にIoT活用支援事業の推進役として、ABICの紹介を受けて応募し、採用された。
2年前のスタート時は、まだやっとIoTという言葉が認知され始めた頃。技術的には既にさまざまな分野で確立はしてはいたが、まだ「IoTって何?」という人が多い状況であった。コーディネーター採用も私一人だったので、古巣の日本電気(NEC)をはじめ、さまざまな情報取得の機会を使いながら実態を把握し、中小企業支援策としての事業の方向性を考えていくことが、最初の仕事であった。幸いにも、IoT事業への関心度も高く、世間でも認知度がどんどん向上したこともあって、翌2017年度は約9倍の予算が確保された。2017年度は、その予算をベースに多くの事業を実施することができたし、現在もその事業の仕組みが骨格事業となっている。
事業の目的は、中小企業に対してIoT(現在はAIも含めて)を活用して経営改善を行ってもらうことである。そのために「ヒト、モノ、カネ」が重要で、「ヒト」に関しては教育研修による人材育成、「モノ」に関してはセミナー等による知識習得や導入支援相談、「カネ」については、補助金事業を展開している。私の役割は、このような事業の企画と必要な機関との交渉、実施等であるが、実施量が増大したこともあって、現在は3人のコーディネーター体制(分担して対応)となっている。
大企業にいた時には、世の中の変化には敏感であり即時性をもって動くことが多かったが、中小企業は、人材不足だったり今の事業展開が精いっぱいだったりして、新しい事に取り組む姿勢がなかなか弱い。しかし、日本の企業活動が、無数にある中小企業に支えられている現状を見ると、中小企業に意識改革を起こしてもらい、日本企業全体の底上げを図っていくことは重要である。この仕事を続ける中で、私でも役に立てる局面が何かあるはずと考えており、それが今の仕事のやりがいになってきている。
2018年度から事業はAI関連にシフトし始めている。中小企業では、AIはまだ早過ぎるのではと考えていたが、地元企業でもAIをうまく使おうという機運は高まってきており、うかうかできない状況である。2019年度は、きっとAI活用が事業の中心にくるであろう。私は新しい時代の変化についていくべく、これからも自己研さんを続けていかなくてはと思う毎日である。