活動会員のレポート

FOODEX JAPAN 2019(第44回 国際食品・飲料展)
ウクライナパビリオンでのロシア語通訳サポートに参加して

  中沢 なかざわ 純一 じゅんいち (元 住友商事)


ウクライナパビリオンにてスタッフと(右端が筆者)

イーホル・ハルチェンコ駐日ウクライナ特命全権大使(中央)と
記念撮影(左端が筆者)

 3月5日-8日に幕張メッセで開催されたFOODEXにおいて、ABICから初めてのウクライナ企業のアテンダントを依頼したいとの話があり、喜んでお引き受けすることとした。FOODEXの事務局によれば、今回、規模では過去最大となり、国内1,244社、海外94ヵ国からの出展があり、4日間の入場登録者は約8万人であったとのこと。
 毎朝開場前に来客のいないブースを見て回った。工夫と費用をかけ短期間での成果を上げるべく、各ブースでは関係者との諸準備に余念がなく緊張感さえ漂い、並々ならぬ意欲がうかがえ好ましい印象を受けた。
 ウクライナからは16社が下記産品を出展した。

1.ヒマワリ、カボチャ、クルミ、からし、菜種、 亜麻等、油糧作物の種子および豆類各種(ヒヨコ豆、レンズ豆、白インゲン豆、黒豆)

2.ブランデー(オデッサ地域のぶどうをベース)

3.蜂蜜および蜂蜜入り関連焼き菓子

4.シリアル各種製品

5.野生のブラックベリー100%の無砂糖ペースト類、他多数

 自然食品が中心で素朴なおいしさと安全性を強調して、パビリオン正面には黄色地に濃い緑の文字で「ウクライナの土と命が育んだ、豊かな実りの世界へようこそ!」と書かれた大看板がつるされ、栄養分をたっぷり含んだ黒土に恵まれた欧州でも有数の穀倉地帯であるという点を強くアピールしていた。

出展社の反応
・日本で初めて出展する会社が大半で、国内市場の特に販売ルートについて質問されることが多く、主に卸売業者の存在が社会主義時代の配給経済にはなかった機能故か、その大きく市場に根を張った存在に強く印象づけられた 模様。
・帰国後日本企業の名刺を頼りに商談が実現するまで上手くいくのか不安との本音を何社からか聞かされたので、コミュニケーションのお手伝いはいつでも可能と伝えた。
・来客がどの程度興味を持って訪問してくれたのかとの質問もあり、来客者の質問が具体的かつその数が多いかどうかを一つの目安にしたり、質問や依頼への回答は、丁寧かつ対応可否を明確にするよう助言した。
・複数の出展社から和文カタログの内容を見てほしいという希望があったが、どれも、文法上の間違いもなく非常に良く作成されていた。
・食品安全の流れでオーガニックとして商品を売り込みたいが、自国の認定機関に多額の費用と時間をかけねば認定取得ができないため、「自然食品」という名称にした経緯。
・出展社は同様な商品の日本での販売価格に関心があり、都内スーパーでの価格を伝えたところ非常に喜ばれた。
 出展社から、日本の平均年収、家族構成、東京と地方の生活レベルの相違、食生活の実態、食の安全に関する意識、貧富の差、男女平等感、大企業と中小企業の役割、福島の原発事故の影響(チェルノブイリとの比較)、行政機関と民間企業との接触度合い等の質問があり、日本市場への熱い意欲をひしひしと感じた。期間中ウクライナを売り込もうと駐日ウクライナ大使も訪れ、同大使館関係者が頻繁にブースに来られるなど官民挙げての応援体制が取られていた。
 最後に、今回のサポート業務に参加し、大変印象深い経験をさせていただき大きな収穫も得ることができ、このような機会を与えていただいたABIC関係者に深く感謝申し上げます。