技能実習生の皆さんと(後列左から5人目が筆者)
日本語講座風景
2019年10月に住友商事経由、宮城県気仙沼市から、インドネシアからの技能実習生20人(全員女性)の皆さんに日本語を教える講座への講師派遣の依頼がABICにあり、私はその機会をいただいた。宮城県気仙沼市の製氷冷凍業協同組合が、外国人技能実習生受け入れ機関として、実習生が来日してから、効率的な作業の進め方、交通安全・生活安全、消防・防災訓練などの教育を担当しており、その中の日本語講座の全期間13日のうちの1日(11月13日)を担当した。
私自身、ABICで日本語教師養成講座を受講し、その後、別のNPO法人でも日本語教師養成講座を受け、そのNPO法人で日本語教育に携わっているが、今回来日している技能実習生の日本語レベルがどのようなものなのか分からず、1日の講義用教案をどうするかいろいろ考えた。来日してからの日本語講座でどのようなことをやっているかを聞いて、日本語のレベルが初級なのか中級なのか確認するような教案を作成して授業に臨んだ。
朝のラジオ体操の後、授業を始めたが、まず実習生の皆さんの「おはようございます」「よろしくお願いします」のあいさつの声の大きさに驚いた。インドネシアであいさつの重要性を教育されてきたのだと思った。まず、ディクテーションでひらがな、カタカナの書き方、カレンダー作りやイラストで数字の読み方、また動詞や形容詞の文型や変化などが言えるかを、例文を提示して初級クラスの日本語のレベルを確認してみたが、皆、インドンネシアでの2ヵ月間の赴任前の研修で習ってきているようで、ほぼ理解していた。そこで、日本語を話すことを重点に講義を進めることとし、特に日本では重要な丁寧語の話し方、仕事の現場で必要な基本的なあいさつ、表現を教えた。また日本語を話す練習も兼ねて、楽しく学ぶためにジェスチャーや伝言ゲームなどを行った。伝言ゲームはチームをつくって競わせたので、盛り上がっていた。
最後に、皆の将来の夢を一人一人話してもらったときに、「両親を幸せにしたい」「シーフードレストランをやりたい」「日本の大学に入りたい」など、皆、真剣な顔をして話していたことが印象に残った。
技能実習生は2-3年で帰国するため、その間に、仕事と日本語を覚えようとする、一生懸命な気持ちが伝わってきて、応援を続けたいと思った。生徒から「授業が楽しかった」という言葉があったと後から聞いて、講座を1日担当してよかったと思った。