活動会員のレポート

東京国際交流館での活動

新型コロナウイルス禍における留学生支援活動
1.従来は
 2001年に日本学生支援機構からの協力要請を受けて、ABICはさまざまな留学生支援活動を年々拡充してきた。2019年度での参加者・受益者は、日本語広場1,594人、日本文化教室628人、生活支援154人となり、春、秋のバザー支援、国際交流フェスティバルでの日本文化体験教室に多数の留学生や家族が参加した。また、ABIC内の日本語教師養成講座での日本語広場講師の養成にも注力してきた。

2.活動停止
 上記の諸活動が新型コロナウイルス感染防止のため停止したのは2020年2月末であった。この時点では4月初めに再開される予定であったが、その後日本語広場、日本文化教室共に保留となり、生活支援は通院・治療2件のみが実施された。また翌5月には全ての活動が停止され、日本語広場、日本文化教室の活動は6月20日以降に再開されることになった。
 日本語広場の活動停止が3ヵ月になるころより、留学生から少人数での日本語勉強会などの開催希望が出始めるようになった。新たな勉学、研究のため困難を乗り越え来日した学生にとり、大学などの授業もなく無為に日々を過ごすことは耐え難いことであったと思われる。

3.オンライン授業の動機と挑戦
 留学生の窮状を見聞きした日本語広場の講師等が動きだした。それはオンラインによる日本語授業の開始である。オンライン授業が現在の授業空白期に実現可能か否か、講師による検討を重ね、コーディネーターを交えた4時間にも及ぶ意見調整の末、5月11日よりZoomシステムによるオンライン授業を開始した。授業登録生徒は130人を超え、6月22日(教室における授業再開日)まで、授業数89コマ、講師延べ12人がこの授業に参加した。生徒数は多い週で80人、少ない週で50-60人であった。なお、現在オンライン授業は対面式授業と並行して実施しており、生徒の大学等の授業時間によりいずれかを最初に選択できるようになっている。交流館の教室から、自分の部屋から、大学院の研究室から、日本語の習得という共通の目標で交流の線がつながっている。

4.対面授業の運営
 一方、伝統的な教授方式である対面授業の再開においては、1室の収容人数を10人(講師と生徒の合計人数)限度とし、同規模の部屋2室を同時使用している。場所のレイアウトについては、両隣、前後間の距離の確保、窓、扉の開放。扉の取っ手、電話器、コピー機、空調機器のスイッチ類の滅菌。入室時の体温測定と体調管理申告書の提出、37.5度以上の人の入室禁止。マスク着用と手指の消毒、講師のフェースシールド着用推奨。また、教室の収容人数に制限があるため参加は予約制を設けず、当日の先着受付順とし場所取りを禁止した。文化教室については茶道、書道、華道、将棋を再開したが、接近して相手と対峙たいじし大声を発する空手の再開は見送られた。これは空手講師が都心にある体育館、道場等を訪問し出した結論であり、10月を空手の再開月とした。囲碁は講師の都合により11月以降の再開予定。
 一見このような多くの規則の下でもめ事なく催事等を進めるのは容易ではないが、3ヵ月経過の現在でも粛々と規則通りに物事が進んでいるのは、多くの人が新型コロナウイルスとの共存意識を持っているからではないだろうか。

(留学生支援担当コーディネーター)


日本語広場

茶道教室

華道教室