コロナ禍前の講義風景
コロナ禍のオンライン講義風景
亜細亜大学では、世界の経済成長を牽引しているアジア経済に注目し、将来的にアジアで活躍できるアジア・グローバル人材の育成を掲げている。この方針に合わせ、経済学の枠組みを超えて、アジアに駐在して働く際に必要な知識や知恵を学生に伝える講義を新設することとなった。
その際、優秀な講師陣がいるとの評判を聞きつけ、経済学特別講義「アジアに駐在する」の講師派遣を依頼することとなったのが、ABICとの出会いだった。このように新設講義であったため、ABICコーディネーターのお力をお借りして、シラバスも一から試行錯誤で作り上げた。
毎年度、期末試験終了後には、ABICコーディネーターや先生方に遠路はるばる大学の講義教室までお越しいただき、学生アンケート結果に基づきながら、次年度の講義をより良くするための活発な議論をしていただいてもいる。コロナ禍前には懇親会も含めて、延べ8時間ほども議論に費やしていただくこともあった。
こうしたABIC関係の皆さまのおかげで、講義開始から4年目の現在、学生アンケートのさまざまな評価項目全てで最高ランクとなっており、当初と比べて受講生数も倍増した人気講義となっている。毎回の講義でも50以上の積極的な質問がなされ、質疑応答だけでも平均40分も費やすほどである。
先生方の講義に共通することは、駐在時の貴重な体験談を掘り下げていただくことで、アジアに住み働く際のイメージを色鮮やかな動画のように感じ取れることである。せっかくなので、今年度(2020年度)ご担当いただいた先生方の講義に関する学生の感想をかいつまんでご紹介したい。
インドネシア講義(山根学先生)では、「アジア通貨危機時に現地マフィアに軟禁されたり裁判を戦ったりしたという全く想像できないお話に驚き関心が高まった」。シンガポール講義(江崎貞雄先生)では、「厳格なルール以外は、ビジネス、安全、マナーなどさまざまな面で魅力ばかり感じた」。中国講義(平塚眞二先生)では、「中国人に対する不信感の見方が変わるとともに、メンツを大切にする働き方が興味深かった」。韓国講義(水口泰介先生)では、「厳しい上下関係に驚いたが、思っていたよりも情に厚くさっぱりとしたイメージを持った」。
タイ講義(安達茂樹先生)では、「職場でのLGBTの方々への配慮に多様性を感じたり、忘年会の映像を見て温かい国民性を感じたりした」。ミャンマー講義(倭昌輝先生)では、「不道徳を避け、Noと言えないなど、国民性が日本人に似ていて親近感を持った」。フィリピン講義(古橋泰造先生)では、「駐在当時の部下のフィリピン人が現在の日本人駐在員をどう思っているかの話や女性活躍の話が興味深かった」。ベトナム講義(嬉芳明先生)では、「ベトナム人の年齢差、労働、結婚に対する考えや日本人に対する意識を学べて、本当に面白かった」。マレーシア講義(嬉先生)では、「民族や宗教の問題が仕事の現場にも影響していることに驚くとともに、駐在日本人の給料の話も興味深かった」。
このように、先生方の情熱のこもったメッセージは学生にしっかりと届いており、学生のアジアへの意識や勤労観を大きく高めていただいていることに深謝いたしております。
※この場をお借りして、急逝なされた髙木純夫先生のこれまでのご功労に敬意を表しますとともに、衷心よりご冥福をお祈りいたします。