日本語広場
2015年5月から開始した兵庫国際交流会館(HIH)でのABIC日本語広場は順調に推移し、2018年度の受講者延べ数は2,126人と過去最高を記録した。しかし、2020年は、新型コロナウイルス感染拡大により2月下旬より活動の中断を余儀なくされた。5月からはオンライン授業を開始し、6月より対面授業を再開した。新規の入館予定者が入国できず、この結果、2020年度は1,067人と大幅に減少した。
2021年度は再び新型コロナウイルス感染が拡大し、4月から6月19日までオンライン授業、6月21日から8月7日まで対面授業に、8月20日から9月末まで再びオンライン授業となった。これは、政府の緊急事態宣言の発出に伴いリモートでの授業をHIHより求められたもの。対面授業の再開には、2020年度にも行った新型コロナウイルス対策につき、①3密の回避、②マスクの着用、③教室は換気に留意し窓とドアを開放、④手洗い消毒の励行、等を関西デスクから受講者に通知し実行している。HIHのコロナ対策も、2020年度同様、感染リスクを徹底的に排除し、講師、受講生にとり不安を感じさせないものになっている。
2021年6月には、アフリカからの学生、多くはKIC(神戸情報大学院大学)院生の7人が初級クラスに参加している。彼らは来日前にオンラインで大学院の授業を受講しており、旧知の仲だった。日本語広場の授業は午後6時からで、HIHのOB・OGも参加できる。近年留学生の日本での就職が増加しており、彼らは退館後もABICが日本語を話す機会を提供してくれることに感謝している。近隣に居住している者も多いが、中には、北海道、栃木、広島、さらに海外在住者もいてリモートで参加している。上級クラスになると、ほとんどが日本語能力検定N1、N2保持者で、講義内容はかなり高度なものもあり、講師の中には事前に資料を配布し研究をさせている。例えば、TED Talksの配信講演からサイモン・シネックの「WHYから始めよ」(注)の講義内容を扱っており、受講生にも好評だ。10月からは本来の対面授業に戻っているが、講師にとり対面授業の方が、受講生の反応をじかに感じられること、また初級クラスの受講生からも対面授業は好評である。
日本文化教室
日本文化教室活動は、オンラインでの授業が困難なことから断続的に発出された緊急事態宣言に従い、今期は、5月、8月、9月の3ヵ月は休講とした。華道は、熱心な受講生が多く、広い研修室での開催は受講者・講師からは十分なソーシャルディスタンスが取れて大変好評だ。従来は中国、アジア系の受講者が多かったが、最近は、米国、アルメニア、セルビア、イラン、モロッコ、ウガンダ、モーリタニア等の学生が参加している。幸い講師は、米国留学の経験から流ちょうな英語が話せコミュニケーションには全く問題ない。作品について各自説明し合うなど、欧州のフラワーアレンジメントとは異なる生け花を探究している。空手は、アフリカのマリ出身でHIHのOBが毎回参加し、講師の指揮下、積極的に後輩の指導に当たっている。書道は、6月に設立当初からの講師の交代があった。熱心なタイ人に加え、中国からの学生が複数参加している。中国では書道は必須項目ではないが、やはり漢字の発祥の地でもありのみ込みが早い。
ところで、ABICのもう一つの支援活動である新入生歓迎バザーは、コロナ禍で本年度も中止せざるを得ないことになり大変残念である。コロナウイルス感染が早期に収束し、留学生が問題なく来日でき通常の生活に戻れる日を切望する。
(関西デスクコーディネーター)
(注)TED(Technology Entertainment Design)はニューヨークに本部を置き、さまざまな分野の専門家による講演会を開催しているNPO団体で、インターネットで動画の無料配信(TED Talks)をしている。サイモン・シネックの「WHYから始めよ」は4,000万回以上再生され書籍もベストセラー。
日本語広場
華道教室
空手教室