活動会員のレポート

バングラデシュ企業との商談会通訳を終えて

 UNIDO東京投資・技術移転促進事務所(UNIDO東京事務所)は、国際連合工業開発機関と日本政府との協定に基づき、主に開発途上国・新興国の経済発展を支援するために設置された機関である。このたび、バングラデシュ有力企業ミッション(建設、エンジニアリング、化学、アパレル、物流、保険等)の訪日機会に主催者UNIDO東京事務所より3年ぶりに対面での商談会を実施するに当たり、通訳者派遣の要請を受けた。
 今回は、本国より投資開発庁の幹部も来日し、同国のビジネス事情につき講演も行われた。大阪(日野武彦、奥中賢次、松井洋子)、東京(山根昭郎、宮越勉、朝倉一美)の6人の会員が、商談会通訳で活躍いただいたのでその所感を紹介する。(敬称略)
(外国企業支援グループ)


1.9月26日(月)大阪会場
日野ひの 武彦たけひこ(元 伊藤忠テクスマック)


 バングラデシュ企業は10社、日本企業は30数社が参加し、多業種・多分野にわたり活発な商談が行われた。
 私は繊維・アパレルが専門であり、3件ほど通訳を通じ商談のお手伝いをした。商談時に気を付けた点は、正確に通訳することはもちろんのこと、今後商売を進めるに当たり前もってクリアにすべき点、気を付けるべき点の助言を求められた際に、これまでの経験に基づいて親身になって対応することであった。
 当初バングラデシュ企業の参加は14社と聞いていたが、最終的に10社になりコロナ禍での来日の難しさを感じた。逆にこの厳しい状況下来日した企業は、日本とのビジネスの取り組みに関して真剣さを感じた。またUNIDO東京事務所もコロナ禍での受け入れで非常に苦労されたと思うと同時に、それらが報われるような有意義な商談会が開催できたことは、日本とバングラデシュ双方にとってビジネスチャンスを広げるためにはとても良い機会であったと思う。
 ここ2年ほどはコロナ禍でほとんどの商談がオンラインにシフトされたが、今回久しぶりの対面形式の商談会となった。対面形式は相手の反応を見ながら商談を進めることができ、昔の懐かしい記憶もよみがえってきた。オンラインでも商談は可能だが、やはりFace to Faceのライブ感にはかなわないと実感した。


2.9月29日(木)東京会場
山根やまね 昭郎あきお(元 住友商事)


 東京でも3人が通訳として参加したが、通訳としての出番は各人とも限定された。東京ではほとんどの日本企業、参加者が通訳を必要とせず、事前に必要と回答されていても当日になって不要とされたところもあったとのこと。日本企業や参加者が相手方とダイレクトにコミュニケーションを取りたいとの姿勢や意欲の表れであり、これからの両国の結びつきを深めるためには大変好ましいことではある。しかし、頑張って準備していただけに、今少し出番があり、通訳として役立ちたかったというのが率直な感想である。というのは、通訳者を介することで、より双方の理解と意思疎通が深まり、具体的な商談への可能性が高まると考えるからである。
 私が担当したのは大変意欲的な案件であった。それは、日本企業が自社の技術をバングラデシュの製造会社に提供するとともに、副資材の一部を日本から供給することによって、現状では二酸化炭素が大量に発生し、法規制がかかる見込みの原料を当面使用せざるを得ないという問題を抜本的に改善し、SDGsにも大いに貢献することが見込まれるプロジェクトであった。実際に通訳をしていて、自分がその案件に関わっているかのような躍動感をさえ感じた。今回このような機会を頂いたことに感謝するとともに、UNIDOの関係者ならびにバングラデシュの皆さまのますますのご活躍を祈りたい。