活動会員のレポート

ABICでの私のチャレンジ

  松井 まつい 洋子 ようこ (元 パナソニック)


オンライン講義の様子

“日本の食品”輸出EXPO 2021の様子
(担当した福井県の和菓子製造販売会社の展示ブース)

 私は2016年、在職中に先輩OBに誘っていただいてABIC会員となり、2017年より、まず大学での講義の機会をいただいた。大阪経済法科大学、京都外国語大学大学院、名古屋外国語大学で、いずれも、複数のABIC会員が回り持ちで得意な分野を講義するオムニバス形式の講座だ。私の場合は職歴から、主に「世界の再生可能エネルギービジネス」関連のテーマで、各大学で1年間に1コマ90分を担当している。大学からの希望で、ニュージーランドでのビジネス経験、企業で女性がキャリアを積むこと、出産育児でキャリアを中断しない経験などの話も含めている。当初は、私が大学で講義??と肩に力が入っていたが、大学教授より実際のビジネスの現場での経験に基づく話ができることは強みであり、学生も気楽に聞いてくれると分かってからは、楽しく講義させていただいている。2大学は今も継続している。1大学で1年に1コマ、とはいえ、年々新しい状況が生まれる分野なので、自らも勉強や情報収集を怠るわけにはいかず、毎回講義の内容・プレゼン資料もアップデートが必要で、かなりの時間を準備に費やすこととなる。でも、講義後には、うまくいったらうれしく、うまくいかなければ次回はこうやろうなどと思い、また、若い学生からのリアクションで自らも学びがあり、結局、やってよかったと思う。特に名古屋外国語大学は、講義後に100人近い受講生からの質問や解答がまとめて送られてきて、それに回答することになるのだが、これも、私の話がよく伝わったと分かるもの、想定以上に反応してくれたものがあり(もちろんそうでない場合も多いが)、こちらが勇気づけられる。途中からはオンライン講義が主流となったが、そのノウハウも他のABIC会員の講師の皆さんと学び合うことができた。
 2021年秋には、インテックス大阪での日本の食品の輸出を目指す展示会、“日本の食品”輸出EXPO 2021で、複数のABIC会員と共に福井県の食品関連企業の展示ブースにて、海外企業との商談サポートをさせていただいた。私が担当したのは老舗の和菓子製造販売会社。コロナ禍の国際展示会で、さすがに外国人の姿は少なかったが、海外企業からオンラインでの商談予約が受け付けられており、小型カメラでブース内の和菓子、特に羽二重餅の柔らかさを手で引っ張って見せながら、英語での商談を行った。展示会の担当者がカメラを持って会場を歩き、オンラインで海外企業が指示するブースに次々に立ち寄るサービスも行われていた。前職では同様の展示会の経験も多かったが、デジタル技術の進歩に感心した。
 その他には、2022年春に、日本進出を目指すシンガポールの太陽光発電関連企業からの英和翻訳の仕事の機会をABIC経由でいただいた。ABIC会員登録情報の中に、太陽光発電業界の経験、英語翻訳可能、と入れていたため、お声掛けいただいたようだ。海外の勢いのある若い起業家を交えてのオンラインやメールでのやりとりもあり、現役を退いて4年後だったので久しぶりに緊張したが、楽しかった。経験が生かせるまたとない機会をいただいて、ありがたかった。
 パナソニックを退職後は、主に気ままな観光通訳ガイドなどをしているが、ABICからお声掛けいただくものも含めて、組織を退職した後の仕事は、自分の視野を広げる機会だと考えるようになった。でも、ABICのようにこれまでの自分の知識や経験が生かせるものは数少なく、ありがたい。貴重な経験をさせていただいている。