活動会員のレポート

第16回川崎国際環境技術展に参加して

  岩崎 いわさき 剛士 たけし (元 Primetals Technologies)


マッチング会の様子(左から2人目が筆者)

 UNIDO東京投資・技術移転促進事務所(UNIDO東京事務所)は、国際連合工業開発機関と日本政府との協定に基づき、主に開発途上国・新興国の経済発展を支援するために設置された機関である。このたびUNIDO東京事務所は、2023年11月15日、16日の2日間にわたり、川崎市が主催して行われた第16回環境技術展に、産学官連携の支援機関として参加した。同展示会は、「技術と英知の融合が切り開くグリーントランスフォーメーション」をメインテーマとし、脱炭素社会の実現に向け、最先端の環境技術・サービスを展示するとともに、新規事業開拓・販路開拓マッチングを企図したもの。
 UNIDO東京事務所は独自にブース展示を行うのと併せてベトナムとバングラデシュから招聘しょうへいした環境技術の専門官による講演を行い、さらに専門官と日本企業との新規事業開拓・販路開拓マッチング会を実施した。ABICからはそのマッチング会の通訳者としての活動依頼があり、山根学会員と私の2人が参加した。
 今回来日された専門官は、バングラデシュからMr. Md Shahadat Hossain(バングラデシュ環境森林気候変動省上級次官補)、ベトナムからMr. Nguyen Truong Phi(ベトナム科学省技術革新局室長)で、前者には山根会員、後者には私が対応した。
 面談は、午前中(10:00-12:00)を4コマ、午後(13:30-16:30)を6コマの1コマ25分ずつに分け、個別面談を希望する企業1社に1コマずつ割り当て、バングラデシュの専門官ブースと、ベトナムの専門官ブースにそれぞれ分かれて行った。両ブース共に、ほぼ全てのコマが事前の面談予約でふさがり、日本企業のバングラデシュとベトナムに対する関心の高さがうかがわれた。
 打ち合わせは、まず日本企業側から自社の環境技術をPRし、その後、その技術がそれぞれの国の、どのような分野での適用が考えられるかを議論する形で行われた。一口に環境技術といっても、内容的には多岐にわたり、気体や液体をナノ化する技術、農業副産物を2次産業の高機能材料に変換するバイオ技術、再生エネルギー水素蓄電システム技術、ゴミ減容技術、特殊フィルター活用の排水浄化処理技術など、独自で先端的な技術ばかりで、日本企業の技術力の高さに驚かされた。さらに、これらの企業の方々は非常に熱心で、自社の技術を熱く語られるその姿勢には、思わずこちらも現実の商談で顧客と話しているような錯覚に陥るほどであった。私は、鉄鋼プラント関係の業務に携わり、日本技術を外国顧客へ説明するお手伝いをしてきた期間が長かったことが幸いし、今回日本企業の方々が使われた技術用語も比較的なじみのあるものが多かった。ただ、私の英語力の限界で、それらの技術の内容や、日本企業の方々の熱い思いが、専門官にうまく伝わったか、いささか不安が残っている。
 今回来日された専門官の方々は、おのおのの国の環境技術を主導する立場におられる。ご帰国後は、この環境技術展で得られた知見を、それぞれの国内で有効に拡散いただき、それが両国の環境改善、ひいては地球全体の環境改善につながることを希望している。
 今回このような地球的課題の克服をテーマとしたマッチング会に関わる機会を頂いたことに対してABICの関係者に感謝するとともに、UNIDO東京事務所の関係者ならびにバングラデシュ、ベトナムの皆さまのますますのご活躍を祈念する。