私は、9年半にわたりABICと共に歩んできた。2014年6月からABICの講師として各大学に派遣され(現在も継続中)、2021年10月から2023年6月まではABICのコーディネーターとして、会員の皆さまを各大学に講師として派遣する業務にも携わった。以下では、講師としての歩みとコーディネーターとしての業務を振り返ってみたい。
講師としての歩み
2014年6月から現在に至るまで、四つの大学、一つの大学院で講師として主に総合商社の事業経営やスーパー・コンビニ業界などについて講義を行ってきた。最初に派遣された大学をはじめ、三つの大学では5年以上講師を務めさせていただいた。また、2021年12月からは初めて大学院での講義も行った。各大学での講義で印象に残ったこと、大学ごとの特色などを振り返ってみたい。
最初に派遣された大学では、講座の対象学部は経済学部だった。毎回、講義の始まる前に担当教授が出欠を取り、教授自身は出欠を取り終わったら退出された。講義内容は全てお任せいただいたということであったが、講義出席の学生数は少なく(毎回10人程度)、やや寂しい感じもした。ある日の講義の最中に、一人の学生が退出したが、たまたま同大学に勤務していて講義を聞きにきてくれていた中高時代の友人が、その学生を追いかけて「講義の途中退出は講師に対して失礼だ」と言ってくれたのが懐かしい思い出だ。初めて派遣された大学であり、よく5年間も続いたなというのが正直な感想だ。
次に派遣されたのは関西の大学であった。毎回、関西に出張して講義を行い、1泊して帰宅した。関西には友人が多いので、講義後の時間も旧交を温め、知見を広めるなど大変有意議な出張であった。担当の教授も商社出身なので、ABICの講師(商社出身が多い)の話題や講義の進め方などに理解があり、講義内容やABICの活動についても良く知ってくれていたので、担当教授・講師共にやりやすかったと思われる。
2016年から2017年にかけて1年間講師を務めた大学では、講師2人で講義を受け持ったが、約120人の学生は男女ほぼ同数で、他大学に比べて女子学生が目立っていたことが印象的であった。
2018年から担当した大学では、学生数は150人前後の大講義だった。大学校舎が広いせいもあるかもしれないが、毎回スクールバスの到着時刻に担当教授に出迎えていただき恐縮した。この大学は真面目な学生が多く、講義後(2−3日後)に頂く学生からの意見や質問は全30ページ近くもあり、通読して質問への回答を用意するにはかなりの時間と労力が必要であった。それでも、学生からの意見などを見ると、こちらの気が付かない点もあり、有意義なシステムだと思っている。
2021年からは大学院生向けの講義も行った。初年度は学生数(聴講生)が3人であったので、これまでの講義と比較して何か物足りない気がしたが、大学院生が1人、残りの2人はいわゆる社会人学生で、他大学と比較すると、講義中の熱意が大分違っていたように思う。2023年からは聴講生が7人となり、私の講義は12月9日、12月16日に予定されており、楽しみにしている。
コーディネーターとしての業務
ABICからの要請を受けて、2021年10月からABICのコーディネーターを務めさせていただいた。自己都合で1年9ヵ月間となってしまったが、さまざまな大学から新講座への講師の派遣や、引退する講師の後任講師の派遣を要請され、これまでの講師の経験も生かし、多くの講師を推薦し、大学側から承認をいただいた。中には非常勤講師から常勤講師に採用された方もいて戸惑ったりもしたが、良い思い出、良い経験であった。