活動会員のレポート

FOODEX JAPAN 2024(第49回国際食品・飲料展)
スリランカ企業出展社での活動

朝倉 あさくら 一美 かずみ (元 三菱商事)


出展社ブースにて(右端が筆者)

 今回のFOODEXには、ABICから外国企業11ヵ国の出展社ブース通訳者として12人が活躍されたと聞く。これは、私がNDC Export社(スリランカ)の通訳業務を行った所感である。事前にご連絡いただいた同社URL(大手ココナッツ製品の製造販売会社)を参考に下準備ができたこと、また、なじみのある高分子分野の商材、さらには輸出開発関連業務ということで、自分の知見を十分に生かすことができた。

展示会全体を通じて
 出展企業は世界68ヵ国・地域から約2,900社、主催者発表の期間中入場者総数は76,000人超という大規模なもので、中でも試食・試飲をさせる酒類や最終製品取扱業者のブースは、さながら人気フードコートのような盛況さであった。
 一方、NDC Export社も含めOrganic/Wellness群にまとめられた出展社ブースは、製品コンセプトやテーマがやや漠然としているためか、来客は多いとはいえず、盛況な出展ブースとの濃淡が顕著であった。

通訳業務を通して
 同社からはCEO、Managing Directorがアテンド。ただし、MDは横浜市内で他の業務があり2人態勢は初日のみで、残り3日間はCEO1人でのアテンドとなった。私との業務内容などの説明を含めた事前打ち合わせは特になかったが、開場とともに流れに任せ、訪問客対応を開始した。
 期間中のブース訪問客は残念ながら多くはなく、CEOは不思議に思ったようで、初日夕刻に視察に来られた主催者側の関係者にその旨述べて、今後のために参考意見を聞いていた。私も感じていたことをCEOに助言した。日本での出展は今回が初めてであり、CEOも改善の必要性を痛感したようで、他の出展ブース巡りに毎日かなりの時間をかけていたようだった。なお、その間は私のみでの訪問客対応となってしまったが、結果報告に対しCEOからは大変感謝された。

その他
 4日間にわたり朝から夕方まで同じ空間を共有できたことで、同社CEOとの人間関係構築の機会も十分得られた。自分にとってもさまざまな外国からの訪問客と会話の機会を持てたことは、非常に貴重かつ刺激のある経験であった。CEOにとっては今回の出展は他国での出展経験とは違い、満足度はあまり高くなかったようではあったが、今後の展示会に向けて参考にすべき点はしっかりと学んだようであった。
 最終日の業務終了の際、私から「今回は訪問客もあまり多くはなく、会場のレイアウトも含めいろいろ不満な点もあったとは思うが、初回の出展故、今回学んだことを経験に日本市場の開発にじっくり取り組み、新規ビジネスの構築にぜひともつなげてほしい」と述べたところ、CEOより「次回はサンプル展示を含め、より効果的な出展を考え積極的に市場開拓に取り組みたい。あなたの業務対応を見てこれなら安心して店番を任せられると思い、他ブースの状況調べに時間を使え大変助かった。次回出展等の機会があれば、ぜひまたお願いしたい」旨の謝意を表していただき、私も大変うれしく、かつありがたく思った。
 末筆となったが、今回このような貴重な活動機会を与えてくれたABICに感謝したい。