地元常磐大学での「中小企業経営論」講義風景
(2024年1月)
台湾で開催された国際展示会での茨城県ブース
(2023年10月、左端が筆者)
私がABICの会員となったのは2020年12月であるが、大学の同級生で会社も同期の岩城宏斗司ABIC前理事長から「ABICが支援している青山学院大学の講義を担当してみないか」とABICを紹介され、応募したことがきっかけだ。
青山学院大学では「国際ビジネスと海外事情」というオムニバス形式の講義の中で、中国ビジネスについて2021年と2022年に2コマずつ講義を担当させていただいた。
約20年間の中国駐在経験はあるものの、大学で講義をする上では理路整然とした講義の流れが必要と考え、中国関連の書籍や新聞記事をにわかに読みあさり、50ページ程度のパワーポイントの講義資料を作成したことは、自分にとってもリスキリングの良い機会となった。
2020年1月にコロナ禍の始まった中国から帰任し、中国民間企業が東京に設立した日本法人の社長として働いていたが、日本企業を買収したいという中国オーナーの希望を満たすことは難しく、仕事上の達成感を感じられない日々を過ごしていた。現在は茨城県の中小企業支援団体であるいばらき中小企業グローバル推進機構(以下、当機構)に勤務しているが、きっかけは2022年7月にABICからの会員宛てメールで当機構が専務理事を公募しているのを目にしたことであった。現職に採用された際には、ABICへの感謝のささやかな印としてABIC賛助会員となった。
当機構は、全国47都道府県に1機関ずつ中小企業庁が指定している都道府県等中小企業支援センターの一つである。茨城県は「グローバルに打って出る!」という方針の下で、県内中小企業の輸出拡大を重要課題としており、県100%出資団体である当機構は、課題解決のために具体的施策を実行する部隊である。
支援対象を食品分野とものづくり(製造業)分野に分け、組織再編も行ってきめ細かい支援を実施しており、輸出展示商談会への出展によるバイヤー発掘、海外バイヤー招聘
等による商談機会の創出、契約までの伴走支援を、支援の三本柱としている。
中小企業の輸出拡大を支援する上で、大きな役割を担っているのが商社OBを中心とした海外展開推進員であり、現在委嘱している6人の海外展開推進員の内の3人はABICから紹介していただいた。商社時代の海外駐在経験や各産業分野での人脈を十二分に生かして中小企業を支援していただいており、非常に大きな戦力となっていただいていることから、今後も継続してABIC会員の方に当機構の海外展開推進員としてご活躍いただけることを切に願っている。
中小企業の輸出拡大のための2024年度の目玉施策は、ドイツとタイで開催される機械関係の国際展示商談会に、それぞれ10社ずつの「初めて海外にチャレンジする中小企業」に参加してもらい、グローバルビジネスにチャレンジしてもらうことだ。単独では海外にデビューすることに二の足を踏む中小企業が多いが、当機構が茨城県ブースを設置して10社が共同出展し、海外展開推進員と当機構職員が同行支援し通訳も手配することから、初チャレンジする中小企業にとっても安心して参加できる環境を整えることができると考えている。
日本の人口減少は今後も避けられないと予想されており、日本のマーケットが縮小を余儀なくされる中で、中小企業の海外マーケットへの進出は生き残りのための有効な解決策の一つであるという信念の下、中小企業の置かれている経営環境に十分に配慮しながら、「当機構の支援による県内企業の輸出総額を毎年倍増させる!」という目標の達成に向けてまい進していきたい。