座学での授業
個別相談
私は2016年末、36年間の会社員生活を終え退職した。退職後はキャリアコンサルタントを目指しながら、漠然と人材教育・育成の分野で社会貢献したいと考えていたが、何をどのようにすれば良いか分からず悩んでいた時、勤め先の先輩でありABIC会員である松岡さんの紹介でABICの活動を知り、2017年5月に活動会員として登録した。
2017年10月に国家資格キャリアコンサルタントとして登録することができ、まず神奈川大学就職課・就職支援センターにて、就活アドバイザーとして学部生および大学院生へのキャリアカウンセリング業務を経験した。その後、国立大学法人電気通信大学にて、キャリア教育特任講師として3年半勤めた。その間、ABICの紹介で聖学院大学にて前職の関連から国際金融論の講義を3人の講師と共にオムニバス形式で5回担当した。
電気通信大学退職後しばらく母の介護のため教育の現場から離れていたが、2023年末にABICよりアメリカ・カナダ大学連合日本研究センター(以下、IUCと略す)にて学生の日本での就職活動を指導・アドバイスする非常勤講師職の案内があり、これに応募したところ、面接を経て採用となった。
IUCは主に北米の大学生・大学院生等を対象に中・上級日本語教育を行う機関である。学生はIUC卒業後帰国し、日本研究の専門家や日本関係の実務家への道を進む者もいるが、日本に残って就職を希望する学生も毎年10-20人程度いるので、このような学生を対象に2月から6月末までの選択授業の一つとして、就職活動を指導するクラスを設けるとのことであった。私の役割は、毎週金曜日の午後、日本での就職活動の仕方(例:履歴書・エントリーシート・職務経歴書の作成方法、面接の受け方、情報収集、就職希望先へのコンタクトの仕方など)について授業を行うとともに、就職活動のアドバイザーとして学生個々の相談に乗るというものであった。
今回IUCとして初めての試みであり、講座の目的・到達目標等を担当教員の方々と話し合いながら授業を開始した。
2−3月は座学を中心に授業を行い、日本企業の採用方法や就職活動成功へのポイントを説明し、特に学生にとって難しいと思われる(1)求人情報収集方法、(2)応募書類の種類および書き方、(3)面接試験対応等をペア・ワークやグループワークも取り入れながら授業を進めた。4月からは個別相談の形式で学生個人別に指導を行い、履歴書・エントリーシート・職務経歴書の書き方や内容の添削・アドバイスを行った。金曜日の1人30分枠の個別指導はほぼ毎回予約がいっぱいとなり、学生たちがいかに日本での就職を切望しているかを実感した。
6月7日に2023-2024年度学生の卒業式を迎えた。卒業生一人一人、バートンIUC所長と握手を交わし満面の笑顔で卒業証書を受け取る学生もいれば、感極まり涙ぐみながら卒業証書を受け取る学生もいて、感動的な場面に立ち会うことができうれしかった。また、就職活動支援授業を受講した学生のうち、既に企業から内定を取得できた学生たちがうれしそうに報告に来てくれた。今回の就職活動支援授業はIUCとして初めての試みであり手探りで始めたが、少しでも学生たちの就職活動の手助けができたのであれば幸いだ。IUCの学生の日本語能力レベルは非常に高く、非常勤講師として毎週学生に会うことを楽しみに充実した時間を過ごすことができた。このような機会を与えてくれたABICならびにIUCに感謝する次第である。