
将棋教室の様子
将棋界は藤井聡太七冠が1強でマスコミでも必ず取り上げられていて、将棋を知らない人にも大人気である。大山名人、中原名人もすごいが、なんといっても羽生永世七冠である。タイトル99期は前人未踏で、囲碁の井山七冠と一緒に2018年国民栄誉賞を受賞されている。残念ながら100期は難しくなっているが、藤井さんなら100期ぐらい軽く行きそうだ。升田幸三、大山康晴が長嶋茂雄、王貞治なら、藤井聡太は大谷翔平だ。前例がない大スターである。
昔の棋士は酒やたばこ、マージャンは当たり前で武勇伝に事欠かないが、現在は品行方正な方が多い。藤井さんからタイトルを奪取した伊藤匠叡王の師匠の宮田八段は弟子にタイトルを取るまでは酒やマージャンを禁止したそうで、そのおかげか弟子は皆強い。昔は将棋を覚えようとすれば新聞、雑誌、親や知人から学ぶか学校や将棋クラブに行くしかなく、プロの将棋は新聞や雑誌で結果を知る以外なかった。NHKの衛星放送で名人戦や竜王戦の最終日が実況放送されたのが驚きで楽しみだったが、今はパソコンやスマホで簡単にプロの対局が観戦できるし、ゲームだけでなくいつでも対人で対局ができる便利な時代だ。AI将棋も20年くらい前から急速に強くなり、2012年の第1回電王戦のあたりから互角またはプロ棋士をしのぐ力を発揮するようになった。2017年にはAIが佐藤名人に勝った。プロもAIを参考にしながら対局する時代だ。日本将棋連盟は北米、南米、欧州、東南アジアに支部を作って国際的な普及にも努め、日本で国際大会が開かれているが、囲碁と違い外国人のプロ棋士はまだいないようだ。
将棋は囲碁と違い、男性は「プロ棋士」で女性は「女流棋士」である。プロ棋士養成機関である奨励会の三段リーグで、春秋の2回それぞれ上位2人、年4人が四段になり正式なプロ棋士になる。満26歳の誕生日までに四段にならなければ奨励会を退会になる。2005年に特例となる瀬川晶司六段のプロ編入以来、従来は実質一度きりの挑戦だったプロ編入試験への再挑戦の道が開かれた。2024年に西山朋佳女流三冠が挑戦したが、残念ながら2勝3敗で敗れ初の女性プロ棋士を逃した。再挑戦を期待したい。
ABIC日本文化教室の将棋教室は月1回土曜日に2時間、お台場にある東京国際交流館で開催しており、私は前任の三井物産の方より引き継ぎ、早いもので15年になる。留学生は将棋が初めての人が多く、テキストで駒の種類、駒の動き、禁じ手などのルール、作法などを教え、その後実践してレビューを行う。詰将棋も上達には欠かせない。月1回では足らないが、短期間でやめる人が多いのが現状なのでやむを得ない。以前は中国か韓国からの留学生がほとんどで、参加者は月にせいぜい1人か2人で、ゼロの時もあった。ABICのコーディネーター3人の熱心なPRのおかげか、留学生の日本文化に対する志向の変化のためかは分からないが、2024年11月に新しい参加者が7人も来たのには驚いた。残念ながらその後定着はしていないが、それでも非漢字圏の東南アジア、北米、南米、欧州、ロシアなどの国々からの留学生が徐々に参加するようになったのはうれしい。この傾向が継続して定着することを期待したい。参加者の内訳をみると、意外と女性の参加が多いのが最近の特徴である。いろいろな国からの留学生が参加することによって、将棋が非漢字圏でささやかでも普及することになればうれしく思う。非漢字圏の人にとっては、将棋の駒が漢字で書かれており、その漢字の意味が分からないのがハンディキャップであるのは間違いないが、それを何とか克服して将棋教室に参加してもらいたい。