活動会員のレポート

NEPCON JAPAN 2025での通訳・営業活動

  田中 たなか とおる (元 三井物産)

 ABICからの派遣通訳として1月22-24日に東京ビッグサイトで開催されたNEPCONの展示会「第39回ネプコン ジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-」で活動した。NEPCONは35年以上の歴史を持つ大型展示会であり、電子部品R&D、製造・包装技術、自動車、ウェアラブル・デバイス、工場イノベーション、スマート・ロジスティクスの会場がビッグサイトの東館と南館に設けられた。今回の来訪者は全会場合わせ3日間で8万5千人規模であった。
 2024年、定年後の再就職先での海外(ベルギー)勤務を終え、退職と同時に大学の後輩に勧められたABICに登録し、11月の川崎国際環境技術展で通訳の初仕事を終えた。その後、2025年3月のFOODEXでの通訳に応募していたところ、ABICから本展示会の案内があり応じた次第。
 担当した出展企業は、NEPCONの中の第9回RoboDEX(ロボット開発・活用展)にブースを出していたXELA Robotics社。同社は早稲田大学教授で社長のDr. Schmitzが同大学の技術を外出しして起業した設立7年目の新興企業で、ロボットアームの先端などに使える新型センサーの設計・製造を行う。従来のセンサーが圧(押す力)を検知するのに対して、XELA社のNuSkinは3次元の圧を検知でき、「押す」力以外に「横移動する(滑る)」力も検知できる。また、感度がとても高く(0.1グラム圧に反応)、繊細なものをつかむことが可能となり、展示でもうずらの卵や折り鶴の羽根先をつぶさずに挟む技術を見せていた。同社は純粋な日本企業(本社は神楽坂)でありながら、20人ほどの社員のうち邦人は3人程度という国際色豊かな企業で、来訪客は外国企業と思っているケースが多かった。
 ブースには社長のDr. Alexander Schmitz(オーストリア人)、CTO(Chief Technology Officer)のDr. Tito Tomo(インドネシア人、日本語片言可)、営業部長の鈴木氏(ロボット機器会社から2週間前に転職)の3人と私とが待機。もともとのミッションはSchmitz社長、Tomo CTOの接客を通訳サポートするというものであったが、「自分たちが表に出ると(日本人客に)遠慮されてしまう」ということで、鈴木氏と私が並んで接客し、技術的な質問に対しては両氏に通訳しながら確認を行うという段取りになった。初日から想定を上回る来訪(80社以上)を受けて、Schmitz社長からABICへ「通訳の追加」依頼のSOSが出され、ABIC側の尽力で2日目午後からABIC活動会員の朝倉さんが加わることになった。
 ロボットはなじみのない業種だったので、展示会前週にXELA社の事務所を訪れ1時間ほど会社の成り立ちや製品の紹介を受けていた。それで私は大変助かったが、2日目から急きょ派遣された朝倉さんが私からの簡単な説明だけで行動を開始できていたのには感服した。
 今後、自動車・自動車部品(EV車の樹脂部材)、電子材料(積層板など薄い部材)、青果物(選果)の取り扱いなどロボットに繊細な動きが必要となることから、同社の技術は来場客からとても興味を持たれていた(同社は2025年中の外注による量産を検討中)。意外な来客としては、ケーキのフルーツ乗せ(ショートケーキのイチゴなど)の自動化を検討中の有名大手菓子メーカーがあった。
 結局、3日間連続で日々80社以上の来客対応を実施。Schmitz社長は「通訳の要員数を読み違えた」と話しておられ、ABICから緊急で追加要員を得られたことにとても感謝していた。
 また、追加派遣の朝倉さんには短時間の商品説明だけで対応をお願いすることになったが、いみじくもおっしゃった「元商社マンだから商材がなんであっても対応できる」という点は同感であり、ABICからの派遣者ならではの貢献ができたのではないかと自負している。


XELA Robotics社のブースにて(左から2人目が筆者)