活動会員のレポート

福島県の医療機器関連企業とドイツ・米国企業とのマッチング支援

多田 ただ 徳彦 なるひこ (元 三井物産)


2025年11月 ドイツ MEDICA/COMPAMED展示会場
(右端が筆者)

2026年2月 米国 MD&M WEST展示会場

 2024年10月、ABICより自身にとっても大変興味深い公募案件の案内をいただいた。内容は、福島県内の医療機器関連企業とドイツおよび米国の企業とのマッチングを支援する業務である。
 福島県では、「医療関連産業の集積」を東日本大震災からの復興に向けた重点プロジェクトの一つとして位置付けており、医療関連産業の世界的先進地であるドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州や、今後の市場拡大が見込まれる米国において開催される海外展示会への出展支援やマッチング支援等を通じて、県内医療関連企業の海外販路の開拓・拡大を図ることを目的として、海外ビジネスコーディネーターが公募されたものであった。
 募集要件には、ドイツをはじめとする欧州での駐在経験があり、英語での商談が可能であることが求められていた。一方で、医療機器や機械に関する知識については「一定程度あれば可」とされていた。
 私は前職の商社において、ICT分野に比較的長く在籍しており、必ずしも医療機器分野の専門家ではなかったものの、内視鏡の輸出やレーザー治療器の輸入など、医療分野におけるビジネス経験も有していた。また、国内外の多数の展示会への出展および訪問経験があり、これらの経験を生かして何らかの形で貢献できるのではないかと考え、応募するに至った。
 2024年12月に面接を経て採用いただき、翌年4月より本業務を担当している。勤務形態としては、月2回程度福島県へ出張し、県職員の方々と共に現地企業を訪問するほか、年2回、ドイツおよび米国で開催される医療関連展示会に出展する企業の支援のため、海外出張を行っている。
 私は現在、独立行政法人中小企業基盤整備機構においても海外進出に関するアドバイザー業務を担当しているが(こちらもABICからの紹介によるもの)、そこで得た知見や経験も、福島県内企業の支援に生かせていると考えている。支援対象となる企業は、原則として前述の海外展示会に出展する企業で、おおむね6-7社である。各社それぞれ、海外展開の経験、進捗しんちょく状況、課題、目標は異なるため、個々の状況に応じた支援を心掛けている。
 支援内容は、最終的に企業が自走できる状態となることをゴールに据え、過小でも過多でもない、適切な質量感の支援を各社ごとに設計し、県職員の方々やドイツ人・米国人のコーディネーターとも綿密に擦り合わせたうえで実施している。また、過去の知識やノウハウのみに固執することなく、AIの活用など最新の動向や技術を積極的に取り入れることも重視している。
 前職での経験、そしてこれまでの人生を通じて培ってきた知見が、これからの人や企業の役に立っているのであれば、これ以上の喜びはなく、まさにmore than happy、光栄に感じている。