
導入講義の様子
経済産業省がODA予算を活用して行う技術協力事業「技術協力活用型・新興国市場開拓事業(制度・事業環境整備事業)」は、日本企業が海外での事業を展開しやすくなるよう、相手国における制度の制定や規制の緩和を働きかけることを目的として、現地の政府・業界関係者を対象とした研修事業を行うものである。今回はその一事業「カンボジア投資促進に係る課題解決機能強化支援研修コース」の講師を2026年1月19日より30日まで務めた。当該事業は2025年5月末にカンボジアのフン・マネット首相が来日された際、石破首相との日・カンボジア首脳会談で両国政府が合意した経済共創パッケージに基づく「BCT- Business Co-Creation Team」の組成に関わる技術協力であり、BCT組成に向けた人材育成と協力がその実施目的である。外国企業が対外投資を検討する場合にどのようなことを検討して腹を決めるか、日本企業がカンボジアへの投資を意図する際に直面する諸問題、諸課題にはどのようなものがあるかなどを理解した上で、迅速な対応が要求される外国投資呼び込みに欠かせないOne-Stop Serviceを提供するにはどのようなBCT組織を組成するべきかについて、仮想の相談企業が相談に来たことを想定し議論を交わした。日本企業がBCTに相談した場合を想定し、投資情報提供、事業構想策定、法人設立、事業開始から操業、事業拡大、アフターサポートまでのエスコート、コンサルティング行動について議論したが、私はその企業役、講師役を務めた。日本滞在中の研修で体感したことを、帰国後組成されるBCTをどのような組織とするか決める際に役立ててほしいとの狙いである。
当該研修コースには、外資企業の投資相談、適格投資プロジェクト申請、会社設立および進出後のアフターサービスに関わる手続きやサポートを担うカンボジア政府関係省庁より監督者、実務担当者および専門家総勢17人が参加された。日本滞在中、JETROを訪問しての勉強や、カンボジアでコンサルティング事業を展開している企業のレクチャー受講に加えて、大企業・中小企業計6社も訪問し、カンボジア進出に当たって課題とするところを聞かせていただいた。カンボジア政府研修団は非常に真面目で真摯にセミナーに取り組まれ、国を発展させたい、良くしたいとの思いに感銘を受けた。私が1989年に赴任したシンガポールは当時開発途上国だったが、今やアジアナンバーワンの個人所得国に変貌している。カンボジアもその可能性がある。
後先になったが、ABICより2025年9月に本件「海外進出相談をシミュレーションする研修において、話を進める役(ファシリテーター)」の案内があり、結果その任に当たることができたことに感謝する。

開講式の様子