マンスリー・レポート No.2 (2000年8・9月)
国際社会貢献センターの取り組み分野

 6月以降本格的に具体的人材ニーズの考えられる政府機関、団体、自治体、NGO組織などを訪問し、当センターの紹介を行ってきましたが、当面、上記のような活動分野が考えられ、少数ながら具体的な実績も出始めています。

(1)ODAの人材派遣;

 JICA、JETROの専門家派遣、JODC(海外貿易開発協会)の技術者派遣などのスキームでは、さまざまなチャンスを捉えマッチングを図っていきたいと考えています。とりあえず当センター最初のケースとして、政府によるハンガリーの投資促進支援個別専門家が、この9月に派遣されることになりました。また、パキスタンについても調整中です。

 これら人材派遣の中で当面注力して取り組んでいる分野のひとつが、JICAのシニア海外ボランティア制度です。これは派遣時で40歳から69歳までの中高年専門家が、1年あるいは2年間、派遣先国の公的機関で指導・助言などを通じ技術移転を行う制度です。この制度に対し、例えば貿易研修、輸出振興、中小企業振興、地域経済発展などをテーマに、現地企業を総合的にサポートする、経理・財務・人事・貿易・投資などからなる複数専門家によるチーム派遣の可能性につき、関係機関と打ち合わせ中です。

 専門家派遣の手続きは相手国への説明、先方からの要請、専門家の選考・手続き・研修を経て実際に派遣されるまで通常は1年近くかかりますが、鋭意取り組んでいます。

(2)NGO関係にも注目;

 この20年ほどで日本とは異なり、欧米では国際的なNGOの活動範囲と地位は著しく向上しており、日本政府も日本の国際活動NGOを積極的に育成しようとしています。この面での人材供給も期待されています。

 最近、人道援助を行っているNGOより難民救済の延長で経済的自立を実現するため、飲料原料の栽培を復活させNGOが仲立ちして輸入したいとして当センターに人材紹介の打診があり、取引経験のあるOB登録者を推薦し、打ち合わせを始めていただいています。

(3)中小企業の国際化に人材推薦;

 商工会議所の会報に当センターの案内が掲載されたところ、地方の中小食品関係企業から、フランスの生産者との提携に適切な人を紹介して欲しいとの打診があり、フランス駐在経験・フランス語堪能・食品関係のOB登録者を探し推薦した結果、顧問契約を締結、具体化が図られることになりました。

 中小企業としては取引規模からして商社には頼めないが、OBであれば個人として経験とノウハウを生かしてもらうケースが想定されます。

 また、逆に日本市場の直接開拓を希望する外国中小企業の在日本代表のような機会も考えられます。

(4)多様なボランティア活動の可能性;

 一般ボランティア活動を希望しておられる方が約3割おられ、コメントでも多数の方から実際に活動をしておられる内容の紹介がありました。外国人向け日本語教育、留学生ケアー、外国人子弟ケアー、ホームステイ活動、通訳ボランティア、地区国際交流センター、介護、囲碁による福祉施設訪問など多岐にわたっており、それらを手がかりに当センターでもボランティア活動を組織していきたいと考えています。

(5)講師の派遣;

 大学・中高等教育・地方自治体・団体などへの講師派遣を、チーム編成によりメニューを充実し、情報や教材の整備、現役商社ルートからの最新情報の組織的収集などを行うことで取り組んでいきたいと考えています。例えば、早稲田大学エクステンションセンターなどと打ち合わせを行っています。

 また、埼玉県国際交流協会からの講演依頼で講師を推薦しているケースもあります。

(6)高年齢者雇用開発協会のプログラムに参加;

 高年齢者雇用開発協会が産業別に行っている3年間プログラムに参加することにしました。初年度の懇談会のレポートをもとに、第2、3年度は試験プロジェクトを一定の予算の下に実施するものです。9月開始の懇談会には各商社人事部から数名参加いただくほか、学識経験者ということで、OB登録者の中で大学教授になられた方に2名参加いただくことになりました。

(7)ワールドカップほか;

 2002年に開催されるワールドカップでは全国10会場で、種々の語学で選手・関係者・観客に対応する通訳を含めた広範な担当者・ボランティアが必要になるとみられています。実際にはかなり先の話ではありますが、準備委員会のFIFAともしています。愛知万博も近く本決まりになれば、パビリオン誘致事務局活動から始まり、2005年の開催まで種々のニーズが予想されています。

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