マンスリー・レポート No.3 (2000年10月)
新しい風を受けての活動

 ABICの具体的取り組みの中で、日本社会にもさまざまな新しい動きが出ていることが分かり、その点にこそわれわれの活動の意味が実感されるのですが、今月号ではそうした事例をいくつかご紹介することとします。

〈国際研究交流大学村〉

 新橋から「ゆりかもめ」に乗って6分、橋脚を360度ぐるっと回ってレインボーブリッジの上を走り始めると、人気のお台場がどんどん近づき、フジテレビの宇宙基地のような奇抜なビルが目につきます。その隣に建設中の日商岩井の本社ビルは外装がほとんど完成しています。そしてお台場を過ぎて90度曲がると「船の科学館」駅に到着します。この駅を降りてすぐ南に、多数のビルが建設中です。大きな看板が出ているわけではなく、そこが「国際大学村」の建設地であるとは関係者以外気がつかないでしょう。

 ここには、801室を擁する日本最大の留学生・研究生宿舎が来春完成します。文部省関連の(財)日本国際教育協会が運営する、アジアなどからの主に大学院生以上の留学生を、単身者だけではなく、夫婦棟、家族棟も整備して受け入れるものです。

 現在、同協会の留学生宿舎は駒場ほか全国に4ヵ所、全部合わせても800室程度の規模で、街の中でもあり周辺住民などがボランティアを組織して交流をしているそうです。ここ臨海副都心には既存のコミュニティーはありません。規模も桁外れです。われわれABICで是非とも何か協力できないものかと考え、具体的打ち合わせを始めています。

〈早稲田大学オープンカレッジ〉

 中央区八丁堀にある光華小学校は、都心の人口減少で廃校となりました。その校舎が来春「中央区テクノセンター」として模様替えされます。地下鉄日比谷線八丁堀駅から1分の交通至便の地にあります。他方、早稲田大学が開かれた大学をめざし設立した「早稲田エクステンションセンター」の主催するオープンカレッジが、一層の講座拡大を図って、このテクノセンターの教室を借りビジネスマン・ウーマンを主な対象とする夜間授業を開設することになりました。

 ABICでは、昨年日本貿易会が会員会社と共同で1年間の研究活動を行った成果として、この7月に出版にこぎ着けた『アジアと共に歩む21世紀』を教材に、現役とOB登録者合わせ8名で、半年間の講座を持つことで基本的にエクステンションセンター側の了解を得ました。これから具体的準備に入っていきます。

〈ジャパンプラットフォーム〉

 日本経済新聞夕刊の3面か5面を使って、9月4日から「NGO駆ける」と題する連続特集が始まりました。月曜から金曜まで、10月に入っても続いています。この特集の中心となっているのが、NGO連合と外務省と経団連などが共同で進めている、緊急援助のためのスキーム「ジャパンプラットフォーム」をめぐってのさまざまな組織と人々の動きです。NGOと日本政府が協力する構図など従来ならちょっと考えられないことであるし、政府が予算要請ベースではなく、緊急援助を行うNGOの初期行動を支援するため、あらかじめファンドを提供しておくスキームも画期的とされます。

 9月にこのプラットフォーム事務局長が公募されました。ABICでは、外国駐在経験が豊富、特に発展途上国での支店長や企業経営などのマネジメント、また、ODA案件での経歴を持つような方など数十名に、この情報や経緯を案内したところ強い関心を持つ方が少なからずおられ、NGOの方に来ていただき説明会も開催しました。全国的公募なので100名近い応募があるとみられていますが、ABIC登録者の中からも数名の方がこの新たな世界へのチャレンジをめざして正式に応募しています。

〈ベンチャービジネス講座〉

 Yahoo!で、「国際社会貢献」と検索すると日本貿易会のホームページが出てきます。このホームページで当センターの存在を知った、各種専門学校を全国展開する都築総合学園から、学生の新たなニーズに応えるため来春よりベンチャービジネス学科とe-ビジネス学科を新設するので、講師の紹介をお願いしたいとの依頼がありました。登録者で講師経験や中小企業診断等の経験のある方に案内し、関心のある方数名が具体的に講義可能な科目につき打ち合わせを始めています。

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