マンスリー・レポート No.22 (2002年9月)
活動会員のレポート
  ベトナム人看護師養成支援事業
    徳田 芳弘(元 三菱商事・在ハノイ)

 私は昨年9月から、日本の看護学校受験をめざすベトナム人に、ハノイで日本語を教えています。本事業は1993年11月に厚生省(当時)から事業認可を受けたジェー・エフ・ビーネットワーク協同組合(略称JFB、在東京)が行っているもので、私が教えているのはその7期生です。昨年9月にベトナム医療省の募集に応募した25人に筆記・面接試験をして、15人選抜し授業を開始しました。

 学生は高校を出たばかりの17〜18歳の女子で、皆素直で礼儀正しく、熱心に勉強する姿にまず感心させられました。日本の同世代と比べはるかに純朴で、またこちらへ来る前に教えていた日本の日本語学校の外国人と比べても格段に教えやすく教え甲斐があります。

 本事業のスケジュールとしては、来年1月まで17ヵ月間当地で事前教育を行った後、日本の看護学校を受験、合格の後、来年4月から3年間勉強し、正看護師の国家試験を受け、日本の病院に4年間正看護師として研修勤務することになっています。

 学生たちは日本の正看護師の資格を取得するわけですが、通常、看護師の資格はその国限りなので外国では看護業務に従事できません。ベトナム政府は本事業のために日本の看護師資格がベトナムでも通用することを正式に認めましたので本事業がスタートできたわけです。おそらくこれは他に例のないことではないでしょうか。1期生はすでに日本の病院で研修勤務の3年目に入っています。

 看護学校を受験するためには、毎年実施される日本語能力試験2級合格の資格が必要であり、この試験に合格することが日本語教育の最低の目標ですが、ハノイでの事前教育の目的は日本の看護学校に合格できる学力をつけることです。そのために日本語初級課程修了の後、日本人教師による英語、数学、化学の授業を行います。これは、国の違いによるカリキュラムのギャップを埋めるためのもので、例えば英語教育では、ベトナムは細かい文法よりもコミュニケーションに重点を置いているようで、細かいことにこだわる日本の受験英語を教えるのに苦労しています。

 考えてみれば、高校卒業まで全くなじみのなかった外国語を、例えば日本人であればアラビア語を1年半弱の間に習得し、アラビア語でアラビア人の学生と同じ条件で一緒にアラビアの大学を受験するようなもので、並大抵のことではないと思います。昨年9月に15人の学生でスタートしましたが、成績の悪い学生を退学させましたので、現在10人になりました。来年1月、日本の看護学校を何人に受験させるかは12月に決定する予定です。私も学生たちを引率して1月に帰国する予定ですが、全員合格を願いつつ毎日授業に励んでいます。

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