マンスリー・レポート No.38 (2004年2月)
活動会員のレポート
  女性講師による女子高での初講義体験記
    大学講座担当コーディネーター 猪狩 眞弓(元 三井物産)

 ABIC国際理解教育コーディネーターから、ある私立女子高校で講義をやってみないかというお話をいただいた。そのときは、会社生活での担当業務上のプレゼンテーション経験から、その延長線上で考えれば何とかなるだろうと気軽に引き受けてしまった。

 同校の職業講演会プログラムの一コマを商社勤務経験談として受け持ってほしいと、ABICを訪ねていらしたという。私も国際理解教育では多くの学校で、工夫を凝らして情熱的に対応してこられた会員の方々の素晴らしい実績をよく知っている。へま・・はまずい、さらに“ABIC女性会員初仕事”ということでもある。これは気を引き締めないとやばいぞ・・・・と、日が経つにつれてその責任の重大さを実感することとなった。

レジュメ作りに工夫

 テーマを「男性社会の中で女性が生きがいをもって働くには」とし、自分の会社生活を入社当時からさかのぼってストーリー展開することとなったが、ひもとく作業はなつかしく、感慨ひとしおであった。こうした体験談と併せ、私はたまたま現在、社会人大学生として大学に在籍しているので、大学で学んだ「女性労働論」や「女性法学」の知識を織り込むこととした。

 受講する高校1、2年生のイメージは、女子大生をもっと初々しくした感じかなと、日ごろ大学生とお付き合いしているおかげで、それほど遠い存在には思えなかった。しかし、レジュメや講義内容を文章化してみると、どうしても硬い仕上がりになってしまう。もっと柔らかく、やさしくと、文章だけ何度も見直してもどうしても硬さから抜け出せない。そこで、会社時代同様、パワーポイントの紙芝居方式に切り替えることにした。分かりやすく、イメージしやすいように漫画イラストを駆使して、何とか組み立てることができた。

リラックスして講義

 講義に臨むにあたって、先生からの一言が心に染みていた。それは、「生徒たちにとっても、猪狩さんにとっても良い出会いの機会でありますように」というものであった。さらに、緊張すべき当日はありがたいことに、父兄同伴?(コーディネーターの方々および事務局のカメラマン同行)だったおかげで、リラックスして予定どおりの講義ができた。

 当日の生徒たちの様子は想像以上に可愛らしく、見回しながら話をしていると、笑顔で応えてくれる子やすっと目をそらす子がよく分かる。寝ている子も一人見つけた。でも、それらに動揺せず、必死でどんどん話を続けた。

 質疑応答で出たのは、実に現実的な「周りの女性たちからいじわるされなかったのか」であった。私だけではなく、私の周りの女性たちの物語も取り入れてお話できる時間があるともっとよかったのかもしれない。終了後の先生のコメントや、英国人女性の校長先生が熱心に様子を聴いてくださったこともありがたかった。

生徒の感想文に感動

 後日、生徒さんたちの感想文が送られてきたときには感動そのものであった。講義中は静かに聴いていてくれただけなので、どこまで私の話を理解してもらえたか不安であったが、一人一人の感想文を読むと、実にしっかりと受け止めてくれていたことが分かるのである。何よりも、「私もこれから社会に出て頑張ります」と言ってくれた子が多かったことがうれしかった。

 私自身の感想としては、とにかくやらせていただいてよかった、こんな私の経験談でも少しは若い人の役に立ったのかもしれないと思えたことであった。私でもできたのだから、会社生活において優秀な実績を有してきたに違いないほかのABIC女性会員の方々に、もっと活動していただけたらと願っている。

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