この9月、岐阜県産業経済振興センターが主催する「海外ビジネス人材育成塾研修会」に講師として派遣された。同センターは貿易取引が比較的少ない岐阜県下の企業を対象に上記研修会の活動を活発化させており、その成果が出てきて、毎年講座数を増やし、広がりを続けている。
本年度は「船積業務を中心とする貿易実務」の15時間コース(5時間を3日間)を、9月、12月、来年3月と3回にわたり計画しており、その講師として、まずは9月に、野田候補と佐藤候補の対決する衆議院議員選挙で沸き返る前後の岐阜に赴いた。
20名余の受講生は中小企業の経営陣から貿易業務担当者まで多彩であり、通関士試験を受けようとする若者から、貿易の基礎を知りたいという営業のトップまでであり、話の難易度・焦点の決めづらい部分もあったが、男女ほぼ同数の受講生はみな熱心であり、暑さがまだ厳しい午後の5時間という眠い時間帯にもかかわらず意欲的に受講してくれた。
船積業務中心の書類処理、そして取引相手・通関業者や船会社などにいかに接するかというポイントに多くの時間をかける必要があったが、「貿易を志すもの」のモットーとして、契約の重要性を強調することや、貿易の仕事がいかにロマンのあるものかという話はぜひ強調したく、かなりの時間を割くことになった。
15時間は長いようで短く、もっと焦点を絞る必要があるのではというのが第1回を終えた実感である。そして、受講生が個別に種々の質問を休み時間や講義後にぶつけてきたり、終講後に自宅宛てにメールで質問や感想を送ってくれたりすると、少しでもこれらの人たちの助けになればと再認識している。
受講生が特に熱心に聴いているのは、今まで大学生相手に話してきた場合と同じく、話し手自身の経験談、それも「失敗談」から学んだ話や、最近の実契約から取り入れた種々の業務処理の話(このためには後輩の現役の皆さんのご協力を得ているが)にあるようであった。
12月、来年3月に予定されている、第2回、第3回の講義では、受講生の求めるものをその都度つかみつつ、本筋である「船積業務を中心とした貿易基礎」が重要でありかつ面白いものであると認識される話を作り上げていきたいと考えている。
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