2005年10月9日(日)代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて日本英語交流連盟(ESUJ)主催の第8回大学対抗ディベート大会の予選大会が行われ、私はChairperson(以下Cp)17人のメンバーの1人として参加しました。ABIC会員は私を含め6名が参加しました。
本年度の参加校は、北は秋田大学、南は北九州市立大学まで合計27校、32チーム(2チーム参加の大学もあり)でした。当日の予選大会は午前10時から午後6時近くまで、昼食の一時間を挟んで4ラウンド行われました。
各Cpはそれぞれの討議室で4ラウンドのディベートの進行役を務めるわけです。論題(Motion)は討議開始の20分前に各ディベーターおよび関係者に知らされます。ディベートは論題に対する賛成派(Proposition)と反対派(Opposition)それぞれ2人、それに3人のJudgeと1人のタイムキーパーおよびCpで構成されます。
論題が与えられて20分経過するといよいよ本番です。まず、First Proposition Speakerがその論題の正当性を述べます。続いてFirst
Opposition Speakerが、次いでSecond Proposition Speaker、Second Opposition
Speakerと続き、それぞれ持ち時間は7分です。最後にOpposition Summary Speaker、次いでProposition
Summary speakerが持ち時間4分で自分の立場の正当性を締め括ります。最終弁論(Summary Speech)以外のスピーチ(立論)中、各ディベーターは“Point
of Information”(POI)、または“Point of Order”(POO)と唱えることができます。
POIとは、相手の矛盾点を突いての質問を要求することですが、スピーチ中のディベーターはこれを拒絶することができる。POOとは、相手がルール違反をしているとJudgeに裁断を訴えるもので、スピーカーの弁論を妨害する合法的なテクニックです。POOはPOIと異なりタイムキーパーはPOOと聞こえたら、すぐに時計を止めてスピーチが再開されるまで待たねばなりません。特にPOIの場合は、スピーカーはこれを断ることも可能ですが、即興でこれに対処しなければならず、スピーカーの真の実力が試されるところです。
さて、肝心のCpの役割ですが、まずディベートの開始を告げ(英国議会調に“I call this House to
order.”と宣告する)、次いで3人の審判の紹介、内誰が主審かも紹介、極簡単に自己紹介をし、次いで論題を読み上げます。いよいよ賛成側のスピーカー、次いで反対側と次々と立論してゆき、最後にそれぞれの立場で最終弁論を行なう次第ですが、その間それぞれのスピーカーの持ち時間を注意し、持ち時間を30秒以上超過すると、直ちに“Stop
your speech. Your time is up.”と有無を言わせず終わらせます。
私が担当した4組の参加校8校、16人の学生諸君はおしなべて英語力もしっかりしておりかなり訓練されているように感じました。論題が与えられてからわずか20分で論題を解釈し、支持または反対の立場を論理的に聴衆に訴えなければならないのですから、中々大変なことです。特に自分たちがその論題に賛成と思っても反対側のディベーターを命じられることもある訳ですから、ますます大変です。
私は都合17年間仕事の関係でアメリカに駐在しましたが、専ら売り込みと代金回収に明け暮れましたので、こうした系統だった立派な立論の渦中に入る機会もなく、今回は生まれて初めての貴重な経験をさせていただきました。
なお、10月9日の予選では32チームのうちベスト8が翌日の最終大会に残り、最後に慶應義塾大学と北九州市立大学-1が残り、最終的に慶應大が優勝しましたが、前日の予選ラウンドで私は北九州市大-1のディベートに立ち会い2人の女子学生を陰ながら応援していたので、やはり最後まで残ったのかと感慨を新たにしました。
なお、参考までに予選ラウンドおよび決勝ラウンドの論題を下記します。
Round 1. |
[This House would make voting compulsory
in Japan.] |
Round 2. |
[This House would welcome more foreign
sumo wrestlers.] |
Round 3. |
[This House believes that the space
exploration is a waste of money.] |
Round 4. |
[This House believes that permanent
membership of the United Nations Security Council should
be abolished.] |
準々決勝: |
This House would support the Prime minister's
visit to the Yasukuni shrine. |
準決勝: |
This House would abolish registration
of World Heritage Sites. |
決勝: |
This House would introduce English debate
in public schools. |
|