マンスリー・レポート No.62 (2006年2月)
立命館アジア太平洋大学(APU)との連携
大学等講座コーディネーター もり 和重かずしげ(元 三井物産)

ABICが3講座開設

 立命館アジア太平洋大学(APU)アジア太平洋マネジメント学部(APM)の2005年度秋セメスター(2005年10月〜2006年1月)で、ABICの特色を生かした「国際貿易論」(日本語)、「International Trade」(英語)および「アジアの投資戦略」(日本語)の3講座を開設した。

 APUは、立命館大学が「自由・平和・ヒューマニズム」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を基本理念(開学宣言)として、大分県と別府市、国内外の広範囲な人々の協力の下、2000年4月1日に別府市十文字原に設立したユニークな大学である。21世紀におけるアジア太平洋地域の平和で持続可能な発展と多様な文化の共生をめざし、未来創造に貢献する有為な人材の養成と新たな学問の創造を目的としている。したがって、1学年定員はアジア太平洋学部(APS)が500人、アジア太平洋マネジメント学部が500人の計1,000人のうち、約半数がアジアを中心とする世界各国からの留学生である。2005年11月1日現在、学生数4,381名のうち、43%が世界74ヵ国からの留学生である。

 カセム・モンテ学長(スリランカ)をはじめ、教職員も約半数が外国籍という「マルチカルチュラル・コミュニティ」の中で、学生と教員が一体となり、民族、宗教、文化の違いを認め、共生するという国際色豊かな環境を備えている。さらに、多言語環境の中で、日英2言語教育システムというユニークなカリキュラムを構築している。

 APUでの講座開設は、昨年4月、APU兼任講師の谷川氏(ABIC大学等講座コーディネーター)が、同校にABICを紹介し、実現した。「国際貿易論」は、世界経済と国際貿易、国際収支と国際経済取引、貿易の国際的な枠組みなど世界貿易に関連する諸問題に関する14回(90分授業)の講義を、同じ内容で日本語と英語で行うというチャレンジングな授業であった。ABICの特徴を生かした海外経験豊かな9名の講師により講義が行われた。

 「アジアの投資戦略」は、「国際貿易論」と同様、関連テーマに精通したABICの講師経験者7名により14回の講義が行われた。各講師のご尽力により、3講座とも高い評価を受けることができた。2006年度も、「国際貿易論」(日本語)・(英語)の2講座は継続の予定で、さらに「Business Communication」(英語)講座を新たに開講予定である。

学術交流協定書を締結
(左からAPU林副学長、同甲賀学長補佐、ABIC吉田理事長)
APUカセム学長を囲んで
(左からAPU横山教授、同林副学長、同カセム学長、ABIC吉田理事長、同野津事務局長)

APUと学術交流協定書を締結

 APUとは、上記のように2005年度秋セメスターに「国際貿易論」(日本語)・(英語)2講座と「アジアの投資戦略」(日本語)1講座の合計3講座を開講するなど関係強化が進んでいる。

 昨年末にAPUから、さらなる提携強化・拡大を目的として、学術交流をはじめとする連携と協力を促進し、教育、学術研究および民間レベルにおける社会貢献活動に寄与するための包括契約をABICと結びたいとの提案があった。

 1月16日、吉田理事長および野津事務局長が別府市のAPUキャンパスを訪問し、APUカセム・モンテ学長およびABIC吉田理事長との間で「APUの講座および各種プロジェクトの実施協力、キャンパス外での学習関連協力、共同研究プロジェクト、教材開発および人材育成分野における相互協力、社会貢献活動への協力など」に関する学術交流協定を調印した。

 今後、両者で具体的な案件を提案し、相互協議のうえ、実施プログラムを策定していく予定である。ABICは同様の包括契約を、2004年に関西学院大学と締結し、いくつかのプロジェクトが進行中であり、今回のAPUとの協定により、ABICの社会貢献活動がさらに拡大し、社会的評価が高まるものと期待される。

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