横浜商業高校に国際学科が創設された2003年に、同校での国際理解教育の一環として、ABICの会員による出張授業がスタートした。
今年で4年目を迎えた訳だが、その間、合計17名の会員が講師を務め、延べ36時間の授業を実施した。取り上げた国の数は13ヵ国、テーマは20に及んでいる。
受講した横浜商業高校の生徒数は4年間で延べ160名を数えるが、その第一期生が1年生時に受講した授業からテーマを選び、2、3年生時に自主研究した内容を、2006年春の卒業を前に発表した。
ABIC関係者も発表会に招かれて見学したが、その発表内容は、「アイヌ民族の独自文化と彼らが受けてきた迫害」、「開発途上国の子供達」、「世界における地雷問題」、「韓国の日本に対するイメージ」といった難しい問題を取り上げたものであり、映像を駆使しながらも決められた時間内にぴったり纏め上げるという、ABIC関係者も大いに啓発されるもので、感心すると同時に、若い国際人が育っていく喜びを感じた。
「ホスピタリティのスコットランド」、「ファッションのイタリア」、「石油の中東」、「貧困と人種問題のアフリカ」、「大国のお隣り
中国」、「社会主義を捨てたロシア」、「プロムのアメリカ」、「先進国への仲間入りが近いブラジル」の8つが本年のテーマであった。
どのテーマを担当した講師も、かつて自分が勤務した土地には限りない愛着があって、ともすると、その愛着が自慢話に発展して行きかねないのをじっと抑えつつ、それぞれの土地の特徴を客観的な評価の下に取り上げて紹介した。授業方法も、近頃の生徒の傾向に合わせて、カラープリントやパワーポイントを駆使し、民族衣装や民芸品を身に着けてみるといった工夫を凝らしていた。
感受性の最も強いティーンエイジャーに対して、外国に暮らした経験を公平に愛着を込めて紹介し、次代を背負う若者を意味のある国際理解に導いていくと同時に、驚きと感動を与える結果となることがABIC講師の大きな喜びである。
(国際理解教育講師派遣グループ・コーディネーター 角井
信行)
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