マンスリー・レポート No.76 (2007年4月)
交流館での活動に新たな広がり

 関係各位のご支援のおかげで、ABICの活動は創立以来、国際ビジネスを通じて培われたノウハウや豊富な人材を活用して、多くの分野で順調な進展を見せてきました。ABICは現在の事業の一層の拡大発展を図るとともに、新しい分野を掘り起こして会員の皆様の活躍の場をさらに広げるとともに社会的ニーズに応えた公益性の高いサービスを、代償を求めずに提供する社会貢献・ボランティア活動も重視したいと考えています。

 最近、原則無償のボランティアを募集するケースも出てきており、会員の方々の積極的ご支援のもとに、継続的に活動する「ABICボランティアチーム」もできました。東京国際交流館での活動の新しい広がりの一端をご紹介します。

〈留学生家族の育児・健康相談サポート〉

 ABICはお台場にある東京国際交流館在住の留学生とその家族約1,000名を対象に、日本語を通じての交流の場「日本語広場」や茶道、華道など6分野の「日本文化教室」の運営などの支援活動を進めてきました。

 留学生たちはそれぞれ所属する大学で一定の健康管理サービスを受けますが、その対象とならない150名ほどの家族(若い妊婦や幼児が多い)の健康管理支援のため、交流館では、管轄の保健所から専門スタッフ3〜4名を招いて、2ヵ月に一度の育児・健康相談の場を設けています。しかし所定の2時間の間に30〜40名を超える親子が参加して対応しきれなかったり、より深刻な問題としては、日本語が不自由な家族との意思疎通を欠き、その故に参加を取りやめるケースも出ていたようです。

 そこでABICはこの健康相談をより有効なものにするため、昨年11月からわずか1名のボランティアによる通訳支援を始めました。その後ボランティア確保に努めた結果、日本語、英語、フランス語、中国語(複数の地方語を含む)、スペイン語、ポルトガル語、韓国語で対応できる8名のボランティアチームができました。

 その中の4名は子育ての経験を生かして、通訳サポートだけでなく、育児・健康相談でも活躍し、保健所スタッフからも大助かりと感謝されています。隔月第3木曜日に行われるこの育児・健康相談サポートは今後も継続し、参加可能のメンバーで対応します。

 現在のボランティアチームのメンバーは以下の8名でいずれもABIC活動会員です(敬称略)。

  1. 曾美芳(台湾出身)東京経済大学コミュ二ケーション専攻・博士課程在籍。
  2. Tri Lestari Djamuhuri(インドネシア出身)東京大学農業経済専攻。
  3. 単娜(中国出身)御茶ノ水女子大学大学院人間文化研究科国際日本学専攻・博士課程在籍。
  4. 宮田恵子 東京外国語大学留学生支援の会ほか様々の奉仕グループで活躍。英語が堪能。
  5. 阿部やよい 東京外国語大学留学生支援の会ほか様々の奉仕グループで活躍。英語が堪能。
  6. 鍬形勲(元 伊藤忠商事)スペイン語とポルトガル語が堪能。
  7. 安信映(韓国出身)日本語1級の資格を持ち英語と(もちろん)韓国語が堪能。
  8. 王玲(中国出身)東京外国語大学交換留学生。中日通訳ガイドと日本語が検定1級の資格を持つ。

〈留学生家族の入園・入学サポート〉

 国際交流館の留学生は大学院生以上で、家族帯同のケースがかなりあり、なれない土地での児童の入園・入学に当たっては通訳や書類書き込みなどのサポートが不可欠な親御さんが多いので、交流館側の要請にこたえて、ABICボランティアチームは本年1月より入園・入学のサポートも始めました。

 留学生の入館は3〜4月と9〜10月に集中しますが、年中バラバラと入館者がいて、児童の入園、入学、編入のタイミングは一定しません。サポートが必要な日に、参加可能のボランティアが何人確保できるかが今後の課題です。第1回目のサポートとなった1月18日の江東区立ひばり幼稚園での入園説明会および第2回目の2月20日の体験入園では、それぞれ3名(宮田さん、阿部さん、Djamuhuriさん)と1名(宮田さん)にABICコーディネーター1名も参加して5組の親子を支援しました。

 ひばり幼稚園の入園は、(1)入園願書提示・面接・入園許可(2)入園説明会と通園に必要な用品の注文(3)入園前の半日体験入園(4)注文品の受け取りと支払、の手順を踏み、今後もそれぞれの段階でサポートが必要となります。入園説明会と体験入園は、幼稚園側の説明が思いのほか詳細かつ煩雑なので、大勢の日本人入園者親子に混じってのささやき通訳では、ボランティア1名が1〜2名の親御さんしか支援できずご苦労があったようです。

〈留学生と小学校生徒との交流支援〉

インドネシアを紹介するDjamuhuriさん ガーナ民族衣装で記念撮影するSenayahさん
 品川区立源氏前小学校では、6年生を対象に英語教育・国際理解教育の一環として、毎月外国人を招き、やさしい英語での自国紹介の話を聞くプログラムを実施しており、ABICに講師派遣の要請がありましたが、講師の確保が難しいため苦慮しておりました。そこで、交流館にもちかけたところ、留学生の“国際交流”のための好ましい企画と評価され、在館留学生からの募集と推薦に協力してもらい、12月には学校側の要望どおりインドネシア出身で東京大学留学生のLestari Djamuhuriさんが選ばれ講師をしました。

 Djamuhuriさんの授業が好評であったため、本年1月にも、ガーナ出身で政策研究大学院大学留学生のMichael A. K. Senayahさんが、民族衣装持参で小学生と交流し、好評を博しました。学校側からはスリランカ出身者の推薦依頼もあり、この支援授業への支援はしばらく継続する見込みです。

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