ABIC中小企業支援グループの依頼により、フランス語堪能な4名の会員がフランス農業ミッションの通訳としてアテンドしました。
依頼主は、種子会社のみかど協和株式会社で、同社の株主でもあるフランスの種子会社の幹部およびフランス中南部の町クレルモン・フェラン近郊の農家(夫妻15組)の合計36名が日本の農業視察を行い、日仏技術交流を発展させようという狙いです。
3月27日、28日の2日間、千葉県訪問にあたって、通訳4名を頼みたいと、千葉県産業振興センターを通じてABICに依頼があったのは1月中旬のことでした。
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大根栽培現場の見学 |
フランス語経験の深い、鈴木惟高(元 伊藤忠商事)、土屋英五(元 三菱商事)、岡部紘(元 東食)各氏の参加も得て、スケジュールの検討、説明資料の準備段階から協力を行いました。何しろ視察の対象が広く、日本野菜の紹介、栽培方法、新種開発、さらには遺伝子組み換えからリサイクル活動にいたるまで現場で説明できるように、日本語資料を予めフランス語に訳しておかなければなりません。2月中旬からその準備に取りかかり4人で分担し、なんとか間に合わせました。
初日は、幸い天気に恵まれ、木更津のホテルから大型バスに40人が乗り合わせて、銚子まで行き、大根、キャベツの栽培現場から見学を開始しました。フランス人も大半が農業に携わっている人達なので、自ら大根を抜き、包丁で切り取ってその場で試食をしました。途中千葉県庁の職員も乗り込み、バスの中で県の農業活動を説明し、それを私達が携帯マイクを使って交代で通訳しました。午後は木更津市にある千葉県の「かずさアカデミアパーク」で日本のDNA研究の紹介がありましたが、さすがにこれはフランス人の専門家が英語からフランス語への通訳を担当しました。
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堂本千葉県知事を訪問 |
2日目は、まず県庁を訪問、大会議室で農林水産部次長が千葉県の農林水産業について説明した後に、堂本知事が歓迎のスピーチを行いました。挨拶原稿は予めもらっていて仏訳も準備していましたが、それとは関係のない話をされ、即時通訳をする羽目になりました。知事も若いころヨーロッパを旅し、フランスが農業大国であることに感銘を受けたとか、フレンチレストランは東京に沢山あるが、フランス野菜はみな千葉で生産し東京に送っていることなど話されました。
その後、千葉市緑区土気にあるイチゴのハウス栽培見学と日本式イチゴ狩りで旬のイチゴを堪能し、昼食をはさんで、農業研究所を視察してスケジュールを終了しました。
その後、一行は京都に向かうため、東京駅の新幹線ホームまで随行し、お別れしました。
私たちもこの2日間、千葉県の農業をよく知ることができました。産出額では、鹿児島県、茨城県と並んで、北海道に次ぐ2位グループですが、農地の宅地化、農業従事者の減少(昭和60年に30万人→平成17年は18万人)と高齢化(65歳以上が65%)など問題を抱えています。その中でも農事組合法人和郷園のように作物の付加価値を高め、直販により消費者に密着した生産性の高い農業を実現している新しい動きも出ています。
ABICでも4人の通訳が一度にアテンドしたことは今までに経験がないそうですが、今回の支援実績は今後ABICの活動を広げる契機になることと確信しました。
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