マンスリー・レポート No.93 (2008年9月)
活動会員のレポート
  インドネシアの金型産業の支援活動
      臼井 うすい 紀久男 きくお (元 サンライズ)

 2006年8月から7年2月と同年8月から8年2月の2回に亘りインドネシア金型工業会(IMDIA: Indonesia Mold &Dies Industry Association-IMDIA)へJETRO金型専門家として派遣された。

 インドネシア金型産業のほとんどはジャカルタ近郊に集中しており、数人規模の企業も含めて400社前後で、大手企業に供給できる品質レベルを製作できる企業は50社に満たないと推測される。金型供給元は、日系、韓国系企業が大半を占め、インドネシア地場企業からの調達は進んでいない。

 

 

左から筆者、インドネシア工業省アグス次官、
ジェトロJKT所長と次長

インドネシア金型工業会(IMDIA)について
 IMDIAは、JETRO支援の下、2006年2月に民間主導にて設立された。会員数は181社で、60%が現地企業であるが、日系や韓国企業も加入するグローバルな組織である。さらに幅広い産業分野の企業が加入していることと、日系企業主導ということでも多々ある世界の金型工業会のなかで異色である。IMDIAは、設立時よりインドネシア商工会議所(KADIN)の傘下にあり、インドネシア工業省とも友好的な関係を保ち、JETROと密接な関係を維持している。更に日本、インドネシア両政府とのパイプを持ち、官民合同で活動ができる優位な組織といえる。

 インドネシアの産業力向上には裾野産業の強化が不可欠であり、製造業のマザーツールである金型産業の育成が産業競争力の向上、輸出力の上昇、雇用促進に寄与するとの観点に立ち、IMDIAでは様々な活動が実施されている。

プレスセミナー関係者(中央筆者)
プレス金型メーカー打合せ 
日本人プレス金型専門家鈴木氏と筆者(左)
金型メーカー見学会

日本の支援
 IMDIAの支援要請に対応する日本から可能な支援方法としては、『人』に焦点を当て会員の技術・技能のレベルアップを達成することである。そのため、金型産業の自立的発展を図るために、より有効的に活用する手段としてコア人材(インストラクター)育成計画を立案し、プログラム策定・テキスト作成および定例活動指導、事務局機能強化指導等の支援ロードマップが策定された。

 その核となるインストラクター育成計画達成に向けての取り組み状況および中・長期計画の進捗状況を確認すべく、2007年8月に着任以降、IMDIAの理事会、委員会、部会に随時出席して活動経過を検証した。その結果、インドネシア人理事、委員夫々が自分の果すべき役割を徐々に理解してきており、発言内容にも2006年度との差が感じられ、大幅に進歩している様に感じた。

 さらに、IMDIAでは、会員に対して「モノ作りに対する意識改革」を図るために、見学会、セミナーや交流会等を実施するなど熱心に取組んできた結果、徐々に理解されつつあるので成果を期待している。

 最後に、インドネシア人はとても親日的で仕事に取組む姿勢も真面目な若者が多い。それと意外に知られてないのは、人口が2億4千万人で国土は日本の5倍もあることである。

 また、食事は油が多く辛い物好きで、一度に沢山食べず日に4回位食べること。断食は1か月に及び、朝食は5時までに済ませ、夕食は日没を待って堰を切ったように食していた光景が印象に残っている。

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